常にマスクで身体がつらい

今シーズン(2019-20)のインフルエンザの患者数は、例年に比べてかなりかなり低かったそうです。コロナ禍における感染予防対策が奏功したことが理由のひとつとして考えられるとのことです。このことからも、個々人がマスクや手洗い等の感染症対策を引き続き新型コロナ対策として継続していくことは大切なのだなと思います。

皆が感染症対策をしっかりやっていることが目に見えてわかるのが、マスクの着用率の高さです。国民全員が着用していると言ってもいいほどです。ほとんど一日中マスクで過ごすという人も多いのではないでしょうか?

長時間のマスク着用が関係しているのでは?と思われる症状を訴える方が当院でも増えているように感じます。頭が痛い、重い、ボーッとする。呼吸が浅い。肩がこる。そんな症状です。マスクの紐で耳が引っ張られ、頭の組織に負担をかけてしまったり、マスクが苦しいので自然に浅くて回数の多い口呼吸になっていたり、口数が減り顎や舌を動かすことが少なくなったり、そのようなことが不調の原因になっているようです。

そのような症状でも、施術後にはスッキリしたと喜んでいただけます。ですが、同じようにマスクを着用し続ければ、いずれまたつらくなってしまうかもしれません。マスクの紐がきつくないように調節したり、蜜にならない空間ではマスクを外したり、顎や舌を意図的に動かす運動をしたり、深呼吸をしたりするなどのマスク対策を感染症対策に加えて、このコロナ禍を乗り切りましょう。

新型コロナウイルスに備えよう

世界的な大流行となっている新型コロナウイルス。身近な人たちの反応をみると、テレビのワイドショーなどを見すぎて必要以上に怖がって、気持ちが落ち込んでしまっている人もいれば、全く何も気にしていない人もいて、受け止め方もそれぞれです。 専門家の方は「正しく怖がる」ことが大切だと述べています。これはとても大切なことだと思います。

自分にできる対策はする

当院では、新型コロナ感染対策としては毎年のインフルエンザ対策と同様に、手洗い、室内の加湿、消毒、換気に気をつけていますが、このような状況ですので、換気と取っ手や手すり等の消毒は、例年以上に気にしております。

マスクは買えないですね。朝、開店前のドラッグストアに並んでいる人を見かけますが、マスクのためなのでしょうか? 施術時には常にマスクを着用しているので、普段からマスクは多めに用意していましたが、早く普通に購入できるようになってほしいですね。

「正しく怖がる」という意味では、新型コロナウイルス対策について首相官邸(新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~)や山中先生のホームページ(山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信)など、インターネットを見ると分かりやすく説明されているサイトはたくさんあります。

ウイルスは自ら広まっていくわけではわりません。人間の行動がウイルスを広めるのです。なので、私達一人ひとりが正しく行動することが感染の拡大を抑えることにつながります。どう行動すべきかは先程ご紹介したホームページなどに書いてありますので、そちらを参考にしていただくと良いと思いますが、2つだけご紹介しておきます。

手洗い

手洗いはきちんとしているつもりでも、意外に洗い残しがあるようです。こちらの動画では、正しい手洗いの仕方を紹介しています。赤いインクを石鹸に見立てていますので、どうすれば全部洗えるのかが視覚的に分かりやすいので参考になるかと思います。手洗いの後は水気をしっかり拭き取り、保湿クリームで手を保護しましょう。

密を避ける

首相官邸のホームページには、1.密閉空間、2.多数の人の密集、3.近距離での会話等の密接場面の3つの「密」が合わさると集団発生のリスクが非常に高まると書いてあります。現状では、そのような状況が起こりうる場所へ行くことは避けるのが賢明です。

「密」を避けて外出しましょう。(首相官邸ホームページより)
「密」を避けて外出しましょう。(首相官邸ホームページより)

怖がり過ぎて家に閉じこもってばかりいては、気分も沈んでストレスが溜まるし、体力も低下してしまい、病気に対して本来持っている体の抵抗力も弱まってしまいます。

私は、この前の休日には春日山原始林へハイキングに行きました。天気も良くとても気持ちがよかったです。 正しく怖がりながら、外出して体を動かすことも心がけましょう。

カイロプラクティックについて知られていない14の事実

カイロプラクターで神経生理学者のHeidi Haavik博士は、カイロプラクティックの効果について科学的研究を行っているこの分野の第一人者といえる方です。彼女による啓蒙ポスター「14 Facts You Did Not Know About Chiropractic」には、カイロプラクティックに関する最新の知見などが簡潔にまとめてあります。カイロプラクティック・ケアとはどういうものなのかを知る一助となる素晴らしい内容なので、皆さんにも是非読んでいただきたいと思いました。そこでHaavik先生に許可をいただきましたので、ここに翻訳して掲載いたします。

14 Facts You Did Not Know about Chiropractic
14 FACTS OF CHIROPRACTIC CARE By Heidi Haavik PhD

1職業としてのカイロプラクティックが生まれてから120年ほどになりますが、カイロプラクティックの基礎となる原理自体は新しいものではありません。事実、古代ギリシアや他の古代文明においては、脊椎アジャストメントが医療の一形式として用いられていました。西洋医学の父ヒポクラテスは、「身体構造は医学の基礎である」と述べ、健康における脊椎の重要性について詳しく語っています。

2世界には、約100,000人のカイロプラクターがおり、16ヶ国に40校を超える学校があります!

3カイロプラクターは手当り次第に背骨を調整しているわけじゃないんです!もしあなたがカイロプラクターのもとを訪れたことがあるなら、彼らはあなたの背骨を触診したり、動かしたり、時にはあなたの筋肉の強さがどの程度なのか筋力を検査したり、背骨を押して痛い箇所があるか確認したり、いろいろなことをするのに気づいたことでしょう。最終的に、彼らは調整する脊椎分節を慎重に選択します。カイロプラクターが調整すると決めた脊椎分節は、押してみると筋肉が緊張していたり過敏になっていることがしばしばです。(1,2)そして、その関節には異常な動きが見られます。(3,4)とりわけ、これらの異常は、私達カイロプラクターが椎骨サブラクセーションと呼ぶものの存在を示しています。(5,6)

4脊椎分節が適切に動かない、つまりカイロプラクターが言うところの椎骨サブラクセーションの状態にあるとき、脳が他のすべての感覚情報を認知し応答する過程に、それが実際に影響を与えるようです。(7)

5背骨が正しく動かないときは、脳は背骨で何が起きているのかが見えなくなるのだと考えられます。なぜなら、背骨(椎骨)が正しく動かなければ背骨のすぐそばにある小さな筋肉があまり動かなくなるからです。この小さな筋群は、たくさんの運動センサーを備えているので、いわば脊椎にある脳の「目」なのです。(8-11)

6実に興味深いのは、脊椎が正しく動かない場合、これが脳による脊椎の制御に影響を与えうるだけでなく、脳があなたの腕や脚で何が起きているのかを「見る」ことにも影響を与える場合があります。つまりこれは、カイロプラクティック・ケアによってあなたがよりスムーズに動くことができるようになることを意味します!いくつかの研究では、目を閉じた状態であなたの腕と脚がどこにあるのかを、脳がより正確に認知できるようになることを示しています!(12,13)

7そんなわけで、カイロプラクティック・ケアが脊椎の機能を向上させるのは事実です。(14-19)さらにすごいのは、カイロプラクティック・ケアによってあなたの背骨が動きやすくなるだけではなく、あなたの腕や脚の協調性も向上するのです!(12,13)

812週間のカイロプラクティック・ケアは、あなたが肉体的に具合が良くなる助けにもなります!ある研究によれば、3ヶ月間のカイロプラクティック・ケアは、対照群と比較して被験者の健康に関連した生活の質(健康関連QOL)の身体的側面を改善させました。(13)

9 12週間のカイロプラクティック・ケアは、地域在住高齢者の転倒リスクに関連する感覚運動機能を向上させることも示されています。これは、カイロプラクティック・ケアが老人による転倒の数を減らすのに役立つことができることを意味すると言ってもよいでしょう。またこの結果は、わずか3ヶ月間のカイロプラクティック・ケア後に、被験者自身が身体的な生活の質の向上を体感したことも示しています。(13)

10そのうえ、カイロプラクティック・ケアは、子供や乳児にとっても安全なのです!子供と乳児のカイロプラクティック・ケアが有害事象と関連することはほとんどありません。それが起きるときはいつも、施術後に伴う短期間の筋肉痛です。研究者は、若い患者に有害事象がどの程度起こるのかを、乳児と子供に対するカイロプラクティック・ケアに関連して発表された全ての文献を再調査しました。(20-22)

11カイロプラクティック・ケアは赤ちゃんの夜泣きを減らす助けとなることも示されています!あるランダム化比較試験では、10日間のカイロプラクティック・ケアにおける乳児の夜泣き時間に対する影響について調べたところ、カイロプラクティック・ケアを受けた赤ちゃんの夜泣き時間は、対照群のそれよりもはるかに短くなりました。(23)ケアを受けた赤ちゃんの夜泣き時間はおよそ半分に減少し、ケアを受けなかった赤ちゃんと比較して、10日後の平均は1時間半少ないことがわかりました。その他複数のランダム化比較試験でも、カイロプラクティック徒手療法は乳児の夜泣きを改善させることが示されています。(24-26)夜泣きに悩む親は、カイロプラクティックを試してみることを考えるべきです。なぜなら、それは赤ちゃんとその家族にとって本当の違いを生み出す可能性があるからです。

12脳に話を戻すと、カイロプラクティック・ケアは、脳から筋肉への情報の送り方を変化させることが、いくつかの研究で明らかにされています!(27-28)従って、この研究は全て、カイロプラクティック・ケアがあなたの脳と体のコミュニケーションを向上させて、あなたの体で何が起きているのかを脳がもっと認識することで、体をより良くコントロールできる助けとなることを示めしていると思われます。

13ひとつの研究では、カイロプラクティック・ケアがあなたを強くするとさえ示しています!(29)驚くことに、この研究で観察された中枢神経系での変化は、別の研究で示された3週間の筋力トレーニング後の変化にとても良く似ているものだったということです。(30)それは、カイロプラクティック・ケアが脳と脊髄に強力な変化を起こすことを示唆しています。

14カイロプラクティックの脳への影響を調べた最近のある研究では、カイロプラクターが機能不全の脊椎分節を調整したときには、前頭前皮質と呼ばれる脳の部位に大きな変化が起こることがわかりました。(31)

By Heidi Haavik PhD Haavik Research

文献

  1. Degenhardt et al. J Am Osteopath Assoc. 2005;105(10):465-473.
  2. Schneider et al. JMPT. Jul-Aug 2008;31(6):465-473.
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  4. Cooperstein et al. Journal of Chiropractic Medicine. 2010;9(3):99-106.
  5. Henderson. J Electromyogr Kinesiol. 2012;22(5):632-642.
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  31. Lelic et al. Neural Plasticity 2016: 3704964

サマソニ・耳鳴り・暑さ対策

今年のお盆休みは、妻とサマーソニックに行ってきました。前日の台風の影響で会場の設営準備に影響が出て、観たかったアーティストの公演のいくつかがキャンセルになり残念でしたが、他のお目当ての公演も観れて楽しむことができました。

野外フェステイバルということで、暑さ対策には気をつけて服装や飲み物など、十分準備していきました。一日中外にいると汗をかく量がすごかったです。想像以上に喉が乾き、用意していったお茶や経口補水液だけでは足りず、会場でも飲み物を購入しました。

あるアーティストのライブを観るために会場で待っていると、開始直前になって、そのアーティストのTシャツを着た観客二人組が会場から出ていくのを目にしました。きっと楽しみにしていたはずなのに、一人が具合の悪そうな顔をしていたので、熱中症になったのかもしれません。

日陰でぐったりしている人もたくさん見かけました。かくいう私の妻も途中具合が悪くなりそうになったので、日陰で長く休憩をとりました。フェスに限らずこの時期は、予想以上に体力を消耗しますので、しっかり栄養・水分補給などの暑さ対策をしっかりして乗り切りましょう。

対策といえばもうひとつ。音楽用の耳栓を持っていきました。音楽を聴くのが好きで、学生の頃はよくライブやコンサートに行きましが、いつも悩まされたのがライブ後の耳鳴りと難聴でした。ライブ直後は高揚感もあって耳鳴りすらも心地よく感じたものですが、翌日になっても耳鳴りが収まらないのには閉口しました。やっぱり耳に良くないよなあ、と思っているうちに段々と音の大きなライブに行かないようになりました。

ところが去年、久しぶりにロックのコンサートに行く機会がありました。耳鳴りのことを思い出し、ちょっと嫌だなと思っていたのですが、ふと数年前に見かけた写真のことを思い出しました。それは、海外でヘッドホンをつけてロックコンサート会場にいる小さな子供の写真で、ヘッドホンのように見えたのは大きな音から耳を保護するためのもので、推奨されているという記事でした。そのことを思い出して調べてみると、私がコンサートによく行っていた頃にはなかったと思うのですが、今では割とポピュラーになっていて、大人用にも耳栓型のものが比較的安価に購入できることが分かりました。

ロックコンサートの音量は120dBを超えると言われます。120dBはジェット機のエンジンの近くにいた時の音量だそうですから、本当に大きな音です。それ以上の音を長時間聞きつづければ、必ず耳にダメージを与え、聴力低下につながります。音楽用の耳栓は、普通の耳栓とは異なり、音質の低下を最小限に留めたまま音量だけを下げるというものです。物は試しと購入したものは、約19dBほど遮音するということでした。19dBでどれほどの違いがあるのかと思いますが、実際には結構違います。使ってみると、気になるほどの音質の低下は感じず、十分楽しめました。コンサート後の耳鳴りも起こりませんでした。

こちらの記事によると、2016年に行った研究で、平均25歳の51人の大人に対し、25人に耳栓 (18dBの騒音低減) を付け、残りの26人には耳栓を付けずに4.5時間の野外コンサート後の聴力を比較したところ、一時的な難聴を経験したのは、耳栓を付けたグループで8%、耳栓をしなかったグループで42%だったそうです。耳鳴りはそれぞれ12%と40%だったということです。

購入した音楽用耳栓は、サマソニでも活躍して耳鳴りなしで1日過ごすことができました。耳鳴りの不安から解消されることで、またライブに行きたいなという気持ちにもなりました。耳を保護して音楽を楽しむことができる耳栓。オススメします。

歩こう

一日の多くの時間を同じような姿勢で過ごす方は、体の使い方に偏りが出てしまい、体に歪みが出てきたり、筋肉が緊張して痛みが出てきたりしがちです。

仕事等でそうせざるを得ない場合は、メンテンナンスのつもりで時々施術を受けていただくことをお勧めしますが、より健康的に過ごすためには、適度に運動して身体全体を使うことも大切です。身体全体を動かすことで、普段の生活で使えていない部分を活性化させることができます。

とは言え、普段身体を動かさない人や、運動が好きでない人が、いきなり運動すると言ってもなんだか億劫だし、中々難しいものです。

利点

一番手軽に始められる運動と言えば、歩くことです。歩くことは私達にとって最も基本的な運動です。歩くことで筋肉や脳が活性化され、肉体面はもちろん精神面でも良い効果があります。ウォーキングの効用についていくつかご紹介しましょう。

体重維持:

ウォーキングは有酸素運動なので、脂肪を燃焼させるのに効率がよいです。従って体重の維持やダイエット効果があります。では、太っていなければ運動しなくて良いかというと、そうではありません。最近話題になっている肥満の中に、サルコペニア肥満と呼ばれるものがあります。これは、加齢により筋肉量が減少すると同時に脂肪が増えている状態を指します。一見太っているようには見えないし、体重も重くないのがこのタイプの肥満で、筋肉が痩せてしまったせいで、太って見えないだけで実は肥満なのです。サルコペニア肥満は、運動不足の高齢者や、食事制限のみで偏ったダイエットをしている方に起こりやすいです。特に高齢者では、筋力が痩せて運動機能が低下することで転倒・骨折、そこから最悪の場合は寝たきりになってしまうこともあります。身体を動かして、筋肉を維持することが、とても大切になります。

生活習慣病の予防:

ウォーキング等の持久力が必要な運動は、心肺機能を向上させます。心臓は、拍動することでポンプのように全身に血液を送りますが、筋肉もまた、縮んだり緩んだりすることで、血管に対してポンプのように作用して血液を送ります。筋肉は心臓の働きを助けるのです。歩くことで下半身の筋肉が使われれば、心臓から遠い足の部分での血行も促進されます。心臓や血管の病気、高血圧、糖尿病などの予防につながります。

骨を強める:

骨は刺激を受けることで強くなります。骨に力が加わると、その部分を丈夫にするために骨を作る細胞が活性化します。骨に対する適度な負荷が骨を丈夫にするのです。骨の成分であるカルシウムを取り込んで骨を丈夫にするためには、ビタミンDが必要です。ビタミンDは、太陽の光を浴びることで、体内で生成されます。お日様の光を浴びながら、骨に適度な刺激を与えるウォーキングは、骨を丈夫にするのに適した運動と言えるでしょう。

気分の向上:

Photo by George Redgrave

セロトニンという神経伝達物質は、舞い上がったり不安になったりする心を適度に抑える働きがあると言われています。例えばうつ病では、セロトニン神経の働きが弱っていることが明らかになっています。落ち込んだ気分を向上させ、落ち着いた状態でいるには、セロトニン神経がしっかり働いていることが大切です。セロトニン神経は、一定の周期で身体を動かすリズム運動によって活性化されます。リズム運動の良い例がウォーキングです。太陽の光を短時間浴びることもセロトニン神経を活性化させますので、朝日を浴びながらウォーキングすれば、生体時計が整えられ、自律神経やセロトニンの働きがより高まりより効果的です。

身体のバランスや協調性を高める:

体の平衡機能や協調性は、非常に重要な機能です。自分が今どのような体勢にあるかを感知して、転ばないようにするには、平衡感覚、そして体のパーツをオーケストラの演奏のようにまとめて動かす協調性が必要です。年齢を重ねるとこれらの機能は衰えていきますが、それを防ぐためには、体を動かすことが大切です。歩くときには、移動する重心に対して身体全体が常に協調して働きながら、転ばないようにバランスを保って進んでいきます。ウォーキングは、体全体を使いますし、平衡感覚を検知する重要な場所のひとつである足の裏の感覚も刺激されるので、とても良い運動だといえます。

やり方

ここまで読んでウォーキングを始めてみようと思った方、せっかくなのでただ歩くだけでなく、以下の点を意識してやってみましょう。

1.頭を上げましょう。下を向かず視線は遠くを見るようにしましょう。

2.背中を丸めず、かと言って姿勢良くしようと背筋を伸ばし過ぎないようにしましょう。首、肩、背中は、力を抜いてリラックスさせましょう。

3.腕をしっかり振りましょう。普段歩く時は、そんなに腕を振る必要はありませんが、ウォーキンングの時には、しっかりと腕を振ることを意識してみましょう。背中側の筋肉を使うことができます。

4.膝を真っ直ぐ前に出すようにしましょう。膝が外や内を向いていると、がに股や内股歩きになってしまいます。運動会の行進のように膝を高く上げる必要はありません。膝をリラックスさせ、進行方向に向かって自然に真っ直ぐ出すようにしましょう。

5.最初の数分はゆっくり歩いてウォーミングアップ。ウォーキングをする時は、普段歩くよりも少し早めのテンポで歩く方が効果的ですが、ウォーミングアップのつもりで始めは遅めで徐々にテンポを上げていきましょう。

頻度

どの程度歩けば良いのかについてですが、健康維持のためには、最低週2時間半が良いようです。これは一日30分程度を週5日の計算になりますが、無理なら1日15分を2回に分けても構いません。これはあくまでも目安ですので、自分の状態に合わせて無理せず行いましょう。例えば、最初は5分ずつから始めて徐々に時間を増やしていく等の工夫をすることも必要です。一番大切なことは、続けることです。

気を付けなければならないのは、痛いのを我慢して運動することです。歩くと痛い場合は、痛みの出ない別の運動を行います。痛みをこらえて運動すると悪化させてしまう可能性があります。まずはしっかり治すことが大切です。

参考文献

砂糖の甘くない話

前回のコラムでは、甘いものには中毒性があるため、思わず過剰に摂り過ぎてしまうこと、そして過剰に摂り過ぎることが身体に悪い影響を及ぼすことをお話ししました。

事実、アメリカをはじめとする国々では、糖分の摂り過ぎを肥満や糖尿病等の生活習慣病の原因とみて問題視しており、具体的な対策に乗り出し始めています。

例えば、昨年(2012年)ニューヨーク市のブルームバーグ市長が、レストランや映画館での16オンス(474ml)以上の容器に入った砂糖入り飲料の提供を禁止する法案を提出しました(結果は、NY裁判所による条例の差止め決定)。また、メキシコでは今年の夏、約20オンスの炭酸飲料とスプーン山盛り12 杯分の砂糖の写真と共に、「あなたは砂糖12 杯分を食べますか? なぜ炭酸飲料を飲むのですか?」と問い掛けた広告(上の画像)が地下鉄やバスに貼られ、炭酸飲料消費を抑制するためのキャンペーンが行われたり、今年の9月にオランダのアムステルダムの公共衛生局長が、「砂糖は中毒性がある危険な麻薬であり、制限するべき」だと主張したり、ここ数年で反砂糖ともいえる流れが強高まってきています。

悪者は脂肪から砂糖へ

この流れは、米カリフォルニア大学ロバート・ラスティグ博士による講義がyoutubeで2009年に紹介されて、一般の注目を集めたことが影響しているようです。

ラスティグ博士によれば、1970年代には、肥満や心臓病の原因は脂肪分の多い食事にあるとされていました。その結果、低脂肪の食品が推奨され、カロリーオフや低脂肪といった食品が増えることになりました。皆さんの中にも、意識して低カロリーや低脂肪の食品を購入される方は多いのではないでしょうか?

脂肪を悪モノとした成果により、アメリカでは20年前と比べると、脂肪分の消費量はずいぶん減ったそうです。これにて一件落着かと思いきや、予想とは裏腹に、肥満や心臓病は減るどころか、増え続ける一方なのです。

その反面、生活習慣病の増加と呼応するように増えているのが、糖分の消費量です。糖分の過剰摂取こそが、肥満と生活習慣病の原因であるというのが、ラスティグ博士らの主張です。

増える糖分摂取量

それでは何故、糖分の摂取量が増え続けているのでしょうか? 脂肪悪者説の結果、世の中には低脂肪の食品で溢れかえりました。スーパーでも低脂肪を謳った商品をたくさん見かけますよね。ところが、低脂肪食品にはひとつ問題がありました。それは美味しくないということです。いくら健康によいと宣伝しても不味くては誰も買いません。そこで、味を良くするため、脂肪の代わりに多く用いられるようになったのが糖分なのです。

脂肪の代わりに増えた糖分は、お菓子やジュースはもちろんのこと、パンやサラダ・ドレッシング等々、ありとあらゆる加工食品に含まれています。便利なもので、今は自分で作らなくても、スーパーやコンビニで、簡単においしいお弁当やお菓子などの加工食品を買うことができます。加工食品が浸透している私たちのライフスタイルでは、想像しているよりも遥かに多くの糖分を知らず知らずのうちに摂ってしまっているのです。

糖分の過剰摂取が引き起こす症状

肥満、糖尿病や心臓病などの病気になる以前に、日常的に甘いもの取り過ぎると、乱高下する血糖値を保つために、すい臓や副腎などの内臓がオーバーワーク状態になってしまいます。

その結果、血糖値が下がりすぎたり、内蔵の働きが弱まったりすることで、実に様々な症状が現れる場合があります。

例えば、

  • 疲れやすい、疲れが取れない
  • 体の痛み
  • 炎症が治りにくい
  • 精神的問題(イライラ、気分が落ち込んだり、集中力の低下)
  • 過食 etc.

血糖は、身体のエネルギーです。糖分の摂り過ぎによって血糖値が不安定になるということは、身体に上手くエネルギーが届かなくなるということです。上記のような様々な症状が身体に現れても、不思議なことではありません。

思い当たる節がある方は、一度食生活を見直してみるのも良いかもしれません。

参考文献

甘いものがやめられない。

先日来院した20代の男性。思い当たる節がないのに、首や肩がだるくてたまらないと言います。彼の体の状態をチェックすると、いくつか気になる点がありました。どうやら原因は、甘いものの食べ過ぎにあるようでした。

彼に尋ねると、案の定、甘いものが大好きで、ジュース類は毎日1リットル飲み、仕事中もお菓子が手放せないと言います。立派な甘いもの中毒です。

糖分の摂り過ぎは、痛みや疲労等、様々な体調不良の原因となりえます。糖分の摂り過ぎが良くないということは、誰もが知っています。ところが、実際に習慣になると、常に食べたいと思うようになり、そして中々やめられません。いったいどうしてなのでしょうか?

砂糖は麻薬

甘いものには中毒性があることが、多くの研究で明らかになっています。

オレゴン研究所のエリック・スタイス博士の研究では、ソフトドリンクやアイスクリーム、あるいはその他の甘いものが好きで、頻繁に食べる人達の脳がどのように振る舞うのか、fMRIで調べました。

そこで分かったのは、甘いものを食べた時、脳には麻薬を摂取した時と同じような活動が起こるということでした。甘いものが口に入ると、ドーパミンが放出されて、脳の快楽中枢が刺激されます。ところが、甘いものを食べれば食べるほど耐性がついて、脳が刺激されにくくなります。つまり、満足感を得るためには、より多く食べないといけなくなってしまうのです。糖は、コカインなどのドラッグと同じで、最も依存性のある物質のひとつと言えるのだそうです。

でも糖は大切

もっとも、このように糖に惹かれてしまうのは、当然のことなのかもしれません。生き物は、ブドウ糖を主なエネルギー源としています。私たちは、ブドウ糖がなければ生きていけません。はるか昔の私たちの先祖が狩猟採集生活をしていたころは、現代とは違って糖質を摂ることが容易ではなかったはずです。大切なエネルギー源である糖質を強く欲するのは、そんな時代から受け継がれてきた本能的なものなのでしょう。

私たちがお米や野菜・果物から摂った糖質(炭水化物)は、お腹に入って消化・分解・吸収されてブドウ糖となり、血液を通じて全身に行き渡ります。この血液の中のブドウ糖の濃度が血糖値ですが、常に一定の範囲内に保たれるように精密に調節されています。血糖値は、上がりすぎても下がり過ぎても身体に深刻なダメージを与えます。それを調節するのが、膵臓や副腎から出るホルモンです。食事をとると血糖値が上がります。すると膵臓からインスリンが出て、細胞がブドウ糖を利用できるように働きます。その結果、血糖値は下がります。血糖値が下がると、膵臓や副腎から出るホルモンが働いて、血糖値を上げます。血液中のブドウ糖を一定量に保つことで、細胞がエネルギーを使えるようにします。

問題は甘いものに囲まれた食生活

甘いものが体のエネルギーになるのなら、食べたいだけ食べても問題なさそうな気もしますが、糖分の摂り過ぎには気を付けなければなりません。

お米や野菜・果物などの食物に含まれる糖分は、消化、分解を経て体内にゆっくりと吸収されていきます。一方、お菓子やジュースなどの「甘いもの」に含まれる糖分は、砂糖や果糖などの精製されたものです。これらの精製された糖分は、お腹の中に入ったらすぐに吸収されてしまいます。それは血糖値の急上昇を引き起こします。

甘いものをやめられなくなるメカニズム

甘いものを摂って血糖値が急上昇すると、それをコントロールしようと膵臓や副腎がフル回転で働きます。毎日フル回転で働き続けたらどうなるでしょうか。やがて糖をエネルギーに変換する機能が上手く働かなくなってしまいます。その結果、身体は疲労してしまいます。身体が疲れると、意識的(あるいは無意識)にエネルギーである甘いものが欲しくなります。そして、甘いものを摂れば脳が喜びます。こうして悪循環が出来上がっていくのです。

悪循環を断ち切るには

特に理由もなく体が痛かったりだるかったり、なかなか疲れがとれず、ついつい甘いものを食べてしまう。これは、もしかしたら、糖分の摂り過ぎで悪循環に陥っているのかもしれません。甘いものを食べるのを控えて、悪循環を断ち切りましょう。甘いものを控えるときには、次の点に注意しましょう。

◎疲れた時には甘いものという考えを改める

砂糖は麻薬です。食べたらシャキッとします。血糖値も急上昇します。元気になるような気がしますが、それは一時のことで、またすぐに甘いものが欲しくなってしまいます。体に必要な糖分は、普通の食事をしていれば、すでに十分すぎるほど摂れているのです。

◎糖分は食物線維と一緒に摂る

普通の食事から摂る糖質には、食物線維が含まれています。食物線維は、お腹に長く留まるので満腹感を与えます。お菓子やジュースなどの甘いものには、これが欠けています。ついつい食べ過ぎる原因となります。

◎清涼飲料は飲まない

缶コーヒーや炭酸飲料、ジュース等には、かなりの量の糖分が入っています。清涼飲料は満腹になりにくく、ついたくさん飲んでしまいがちです。最近問題になってきていることに、清涼飲料や様々な加工食品によく使われる異性化糖があります。異性化糖の取り過ぎが、メタボリックシンドロームや種々の病気の原因となっている可能性が指摘されています。清涼飲料を飲むのは、最小限度に控えるべきでしょう。これについてはまた次の機会にお話しします。

◎無理はしない

余分な糖分を減らせば良いのですから、自己流で極端なダイエットをするのはやめましょう。また、甘いもの依存になっている人は、禁断症状が出るかもしれません。やめるのが辛い場合は、無理せず徐々に減らしていきましょう。

参考文献

CBC News. 60 Minutes. “Is Sugar Toxic
Mercola.com. “Shocking Sugar Content of Common Food Products

運動前のストレッチにご用心

ストレッチには、いくつかの種類があります。一般にストレッチと聞いて思い浮かべるストレッチのことを、静的(スタティック)ストレッチと言います。目的の筋肉を伸ばすような姿勢を取り、その姿勢で数十秒間保持するタイプのストレッチです。

この静的ストレッチには、体に良い様々な効果があると言われており、スポーツをする前には欠かせない準備運動として行なっている人もたくさんいると思います。ですが、これには注意が必要です。実は、ストレッチに関する研究のほとんどが、ストレッチにはこれまで言われていたような効果がないことを、はっきり示しているのです。ここでは、準備運動として行うストレッチに関する3つの間違いについてお話しします。

1.ストレッチはウォーミングアップにならない

スポーツを行う前には、しっかりとウォーミングアップ(準備運動)を行うことが大切です。準備運動の目的は、ケガの予防と運動のパフォーマンスの向上です。ウォーミングアップとは、文字通り身体を温めることです。心拍数を上げ、体温を上昇させることにより、よりハードな運動を行うための準備になります。

ウォーミングアップのケガ予防効果に関するある研究では、ノルウェーのユース女子サッカー選手1892人を対象に、国際サッカー連盟(FIFA)が推奨するウォーミングアップ・プログラム「11+」を行う選手とウォーミングアップを行わない選手とに分けて、1シーズン終了後のケガの発生率を比較しました。「11+」を行ったグループのケガの発生率は、行わなかったグループに比べて約3分の1少なかった、という結果になりました。適切なウォーミングアップは、確かにケガを予防するということがわかります。

では、運動前のウォーミングアップとして静的ストレッチを行うことは、効果的なのでしょうか? 筋肉を温め、動きやすくするためには、体を動かす必要があります。ストレッチはどうでしょうか? 筋肉を伸ばした状態でしばらくじっと待ちます。果たして、これで身体が温まるのでしょうか? 少なくとも、効果的な身体のウォーミングアップとは言えないでしょう。

2.ストレッチはケガの予防にならない

ストレッチがケガを予防するという考えが出てきたのは、1960年代でした。ちょうどそのころ、運動することで心臓疾患のリスクが減少するということが研究で明らかになり、日常的にエクササイズを行う人口が増えました。そのことも相まって、ストレッチの習慣は、広く浸透しました。それから数十年の時を経て研究が進み、現在では準備運動にストレッチを行なってもケガの予防にならないことが分かっています。

2010年の研究では、週に10マイル(16.09km)以上走る13歳以上のランナー2729人を、ランニング前にストレッチを行うグループと行わないグループに分けて、3ヶ月間のケガの発生率を比較しました。結果は、ストレッチをしてもしなくても、ケガの発生率に差はありませんでした。

ウォーミングアップは、ケガの予防につながります。ですが、ウォーミングアップとしてストレッチを行なっても、ケガの予防にはなりません。先に述べたFIFAの「11+」にもストレッチは含まれていないのです。

3.ストレッチで運動能力(パフォーマンス)は向上しない

スポーツ競技で良い結果や記録を残したい場合には、試合直前にストレッチを行わない方が賢明です。ストレッチ直後には、身体のパフォーマンスが低下することが、たくさんの研究で明らかにされているからです。

例えば、ストレッチを行った後では、短距離走のタイムが落ちたり、垂直跳びの記録が著しく低下したりするという研究報告や、ふくらはぎの筋肉をストレッチした後には、姿勢動揺性が増すという研究があります。また、長(中)距離ランナーでは、ハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)の柔軟性が低い方が、ランニングエコノミーが高い、つまり少ない酸素摂取量で効率良く走れる、という研究もあります。

ストレッチ自体が悪いわけではない

ここまでお伝えしたことを考えると、ストレッチは絶対にやってはいけない悪いことのように思えてしまいますが、決してそうではありません。注意しなくてはいけないのは、準備運動としてのストレッチです。特定の筋肉を限界まで伸ばして、じっと保持する静的ストレッチは、一時的に筋肉の活動を低下させてしまいます。あなたが準備運動の時に行うストレッチに、ケガの予防やパフォーマンス向上を期待しているのなら、やらない方が賢明でしょう。

ただ、どうしても運動前にストレッチをして筋肉を伸ばさないと不安だという方は、無理にストレッチをやめる必要はないと思います。入念なストレッチは避けて、ひとつのストレッチに対する時間を短時間(10数秒間)に留め、競技の直前に行わないことさえ気をつければ、特に影響はないと考えられます。

また、柔軟性の維持、向上を目的としたストレッチは、別の話です。ダンスや体操などの柔軟性が必要な運動競技をしている人にとっては必要でしょうし、一般の人にとっても、日常的に適度なストレッチを行うのは、心身のリフレッシュという意味で良いことだと思います。

必要なのは別の種類のストレッチ

ウォーミングアップに必要なのは、身体を目覚めさせる運動です。それには、動的(ダイナミック)ストレッチが最適です。今までストレッチは駄目だと言ってたのに・・・、と思うかもしれませんが、名前は同じストレッチでも、静的と動的ではやることが全く異なります。

動的ストレッチとは、身体の部位を可動範囲内で徐々に動かしていくことによって、身体を活性化させます。具体的は、軽いランニングや、実際に行うスポーツの動作に似た動きを行います。FIFAの「11+」に含まれる準備運動も動的ストレッチです。日本サッカー協会のサイトで動画を見ることができますので、興味のある方はご覧になってください。

静的ストレッチと動的ストレッチ。作用が全く異なるのに、どちらもストレッチと名付けられていることも、混乱が生じている一因なのかもしれません。準備運動には、筋肉を動かす「動的」ストレッチが吉。筋肉を静める「静的」ストレッチはナンセンス、と覚えておきましょう。

参考文献

肩こりについて

肩こりは、腰痛と並んで国民病ともいえる症状です。厚生労働省の調査(平成22年)では、私たちが自覚する症状の1位と2位を肩こり(女性では1位、男性では2位)と腰痛が占めています。実際、当院に来院される方も、肩こりに悩まされている方は非常に多いです。

肩こりとは、後頭部から首、肩、肩甲骨部の緊張や痛みを指します。そのため、肩こりと言っても、その症状は、Aさんにとっては肩全体が重たい感じだったり、Bさんにとっては後頭部が締め付けられるような感じだったりと様々です。肩周辺の組織のこり感や痛み症状を総称して「肩こり」と読んでいるわけです。

危険な肩こりもある

肩こりの場所が様々なら、その原因も様々です。その中でも気を付けなければいけないのは、関連痛といって内臓の異常を示すサインとしての肩こりです。例えば、右肩のこりは胆のうや肝臓の病気が原因で起こる場合があります。なかには、狭心症などの心臓の病気が、左肩への痛みとして現れるようなこともありますので、注意が必要です。

このような危ない肩こりとは違い、いわゆる一般的な肩こりは、主に筋肉の使い過ぎによる疲労、姿勢の問題、目の疲れ、冷え、ストレス等々が原因です。これらは、自身の生活環境を見直すことで、ある程度解消することができます。

自分でできる肩こり対策

まずは、普段自分がどんな姿勢で過ごしているかを考えてみましょう。同じ動作ばかり繰り返しているとか、悪い姿勢で過ごしているなら、それを改善できるか考えてみましょう。

例えば、仕事で長時間のデスクワーク(パソコン等)をしているのであれば、机と椅子の高さがあっているか確認しましょう。机が低すぎると頭が下がってしまったり、高すぎると肩に力が入ったりして、首の後ろや肩の筋肉を緊張させてしまいます。肩の力を抜き、肘を90度程度に曲げて、机の上に手を置ける高さが理想的です。

時々、休憩しましょう。常に同じ姿勢でいれば、同じ筋肉ばかりを使うことになるので、当然疲れてきます。また、長時間パソコン画面や書類に向かうことは、目の焦点を同じ距離に保ち続けることとなり、目を疲労させます。作業に集中し過ぎて、知らず知らずのうちに歯を食いしばったりしてはいないでしょうか? ここまでくると、肩こりのみならず、頭痛も起きてしまうかもしれません。肩や目の筋肉がこり固まってしまう前に、時々、立ち上がって身体や肩を動かしたり、遠くを眺めたりしましょう。違う動作を行うことで筋肉の緊張をとき、肩こりを予防することが大切です。

気分転換も大切

体の緊張だけでなく、心の緊張も肩こりに影響します。精神的なストレスがかかると、神経が高ぶり、身体は緊張して血行不良になって、肩こりに悪影響を及ぼします。休日には趣味や運動をして気持ちをリフレッシュさせると良いでしょう。また、就寝前にぬるめのお風呂につかると、副交感神経が刺激されて血行も良くなり、リラックスして眠りにつきやすくなります。

それでも良くならないときには

つまり、一般的な肩こりは、同じ姿勢で長時間過ごしたり、ストレスを感じたりすることで、肩や首の筋肉を緊張させて、負担をかけてしまうために生じてしまうのです。ですから、通常であれば運動をしたり、十分な睡眠をとったり、気分転換をしたり、あるいは仕事が一段落すれば自然と解消されるものです。

「自然に解消、と言うけど色々やってみても自分の肩こりは良くならないよ」という方もいらっしゃると思います。長い間肩こりを患っていたり、仕事柄どうしても肩こりになりやすいという方の場合、そう簡単には改善しないのが、肩こりの厄介なところです。それは、本来の体の動きや姿勢に戻れない状態になってしまっているからです。

そういう時には、当院をご利用下さい。動きのおかしくなった背骨や肩の関節等を調整すると、ずいぶんと楽になります。施術によって肩こりの原因となっている姿勢が改善され、自然にこりが和らいでいきます。仕事柄、肩こり姿勢は避けられないという場合は、定期的なメンテンナンスが必要かもしれません。いつもの肩こり姿勢をリセットさせることが大切です。

その上で、先に述べたような自分でできる肩こり解消法や運動を行えば、毎日の生活の質も変わってくるはずです。

骨盤のはなし

最近、骨盤のズレを気にして来院される方が増えています。「骨盤」が流行りのようで、ちまたでは骨盤ダイエットや骨盤矯正という言葉もよく耳にします。今回は骨盤についてお話ししたいと思います。

骨盤はズレない

骨盤は、仙骨、尾骨そして左右2つの寛骨から構成されています(図1)。これら4つの骨が関節でつながって、ひとつの骨盤となるわけですが、この関節面が文字通り「ズレ」てしまい、骨盤に歪みが生じる、と皆さん思われているようです。腰痛で当院にみえた方の中には、ご自身の腰の状態を「骨盤がズレているので、元通りにハメて欲しい」、と表現される方もいらっしゃいました。

骨盤の構造。いくつかの骨のパーツがしっかりとつながっている。

骨盤を形作る主な関節は、仙骨と寛骨をつなぐ左右の仙腸関節と寛骨同士をつなぐ恥骨結合です。これらの関節は、強靭な靭帯や筋肉で補強されていて、実はさほど動きません。例外は妊婦さんで、出産時に赤ちゃんが産道を通りやすいように骨盤の関節がゆるみ、その動きは大きくなりますが、これは正常な変化です。実質的には、骨盤の関節がズレてしまうということは、殆どないことです。

ところが、ズレを気にしている方の骨盤をみると、実際に高さが右と左で違ったり、片側が反対側と比べて前に出ていたりします。やっぱりズレているのでしょうか? いいえ、そうではありません。先ほど、骨盤の関節はほとんど動かないと説明しましたが、骨盤につながる背骨と股関節は違います。特に、股関節は最もよく動く関節のひとつです。この背骨と股関節が動くと、骨盤全体が前後、左右、上下に移動します。つまり、骨盤がひとつの塊として、回転したり傾いたりすることで、捻れが生じるのです。それが、あたかも骨盤の関節がズレているように見せかけています。

頭の位置と骨盤の関係

それでは、なぜ骨盤全体が捻れてしまわなければならないのでしょうか? その原因は様々なのですが、最も重要な原因が頭の位置です。頭には目や三半規管が備わっていて、そこから得られる情報によって、自分が空間の中でどのような位置にいるのかを判断します。正しい情報を得るために、脳は常に頭が真っ直ぐな位置になるように反射的に身体を調節しています。実際の姿勢調節のメカニズムは非常に複雑なのですが、その目的はシンプルで、頭を真っ直ぐ維持して、転倒してしまわないようにすることです。

例えば、頭が後方に倒れていると脳が判断すると、後ろに転ばないように、身体の前側の筋肉を緊張させて、真っ直ぐな位置へ頭を起こします。頭が前方に倒れたら、逆の反応が起こります。

下の図を見てください。頭が重心より後ろに行くと、脳は身体の前側の筋肉(腹筋など)を緊張させて、頭を起こし重心を安定させようとします(図2のA)。反対に頭が前方にあると脳が判断した場合には、後ろ側の筋肉(背筋など)を緊張させて、バランスをとります(図2のB)。

つまり、頭の位置を安定させるために、よく動く背骨や股関節を使ってバランスをとり、その代償として骨盤の位置が変化しているのです。図2のAでは、前側の筋肉が緊張して、背中は丸まり、腹筋が骨盤を引っ張り上げるので、骨盤は前方にスライドし後ろに傾きます。Bでは、後ろ側の筋肉が緊張して背骨(腰椎)が反り返り、骨盤は後ろ側が引っ張り上げられて前方に傾いています。

骨盤と姿勢の関係。頭の位置が大切です。

この図は分かりやすいように単純化した例ですが、実際の頭部は、前後、左右、回転の傾きが組み合わさり、複雑に変位してバランスをとろうとします。日常生活の姿勢やクセなど、何らかの要因で正しい頭の位置が変わってしまう生活が続くと、下の図のようにそれをかばう姿勢になってしまいます。それが身体の骨や筋肉への負担となって、痛みなどの症状や身体の歪みが生じるというわけです。

骨盤とダイエット

さて、ダイエットという観点で骨盤をみると、見た目の影響が一番大きくなります。図2のAでは、背中も丸まり骨盤が前に突き出て、お年寄りのような姿勢になり、身体、特に下半身が沈んで重たそうな見た目になります。Bでは、お尻が突き出ると同時に、腹筋が緩むので、お腹も出てしまいます。

「骨盤の状態=体重の増減」ではなく、スマートに見えるかどうかの問題なのです。脂肪を燃焼させて痩せる本当の意味でのダイエットには、食事、運動などの規則正しい生活習慣が必要になります。

骨盤のゆがみ(位置)を正すことは大切なことですが、ゴムバンドを巻くだけのダイエット法では、一時的にむくみが取れることはあっても、痩せることはありません。また、頭部を含めた身体全体のことを考えない骨盤矯正では、骨盤はまたすぐに元の位置に戻ってしまいます。

骨盤矯正はいらない?

では、骨盤矯正は全く必要ないのかというと、そうではありません。どんな関節にも柔軟性が不可欠です。さほど動かない骨盤の関節も例外ではありません。長期間骨盤が悪い位置にあれば、恥骨結合や仙腸関節にストレスがかかり、やがて柔軟性が損なわれてしまいます。

まずは、頭部の位置を安定させて、身体全体のバランスを改善させる。そのうえで、骨盤の関節の柔軟性に問題があれば、それを調整する必要があるでしょう。ですが、元々動きの少ない骨盤ですから、それをむやみに大きく捻ったり、ボキッとしたりするような矯正は必要ないと当院では考えています。

また、出産後は緩んだ骨盤が元に戻っていきますが、その際に骨盤の位置が良くない状態にあれば、その状態のまま固定されていく場合があります。それは見た目だけではなく、後々の身体の不調につながる可能性がありますので、早めのケアが大切です。