サマソニ・耳鳴り・暑さ対策

今年のお盆休みは、妻とサマーソニックに行ってきました。前日の台風の影響で会場の設営準備に影響が出て、観たかったアーティストの公演のいくつかがキャンセルになり残念でしたが、他のお目当ての公演も観れて楽しむことができました。

野外フェステイバルということで、暑さ対策には気をつけて服装や飲み物など、十分準備していきました。一日中外にいると汗をかく量がすごかったです。想像以上に喉が乾き、用意していったお茶や経口補水液だけでは足りず、会場でも飲み物を購入しました。

あるアーティストのライブを観るために会場で待っていると、開始直前になって、そのアーティストのTシャツを着た観客二人組が会場から出ていくのを目にしました。きっと楽しみにしていたはずなのに、一人が具合の悪そうな顔をしていたので、熱中症になったのかもしれません。

日陰でぐったりしている人もたくさん見かけました。かくいう私の妻も途中具合が悪くなりそうになったので、日陰で長く休憩をとりました。フェスに限らずこの時期は、予想以上に体力を消耗しますので、しっかり栄養・水分補給などの暑さ対策をしっかりして乗り切りましょう。

対策といえばもうひとつ。音楽用の耳栓を持っていきました。音楽を聴くのが好きで、学生の頃はよくライブやコンサートに行きましが、いつも悩まされたのがライブ後の耳鳴りと難聴でした。ライブ直後は高揚感もあって耳鳴りすらも心地よく感じたものですが、翌日になっても耳鳴りが収まらないのには閉口しました。やっぱり耳に良くないよなあ、と思っているうちに段々と音の大きなライブに行かないようになりました。

ところが去年、久しぶりにロックのコンサートに行く機会がありました。耳鳴りのことを思い出し、ちょっと嫌だなと思っていたのですが、ふと数年前に見かけた写真のことを思い出しました。それは、海外でヘッドホンをつけてロックコンサート会場にいる小さな子供の写真で、ヘッドホンのように見えたのは大きな音から耳を保護するためのもので、推奨されているという記事でした。そのことを思い出して調べてみると、私がコンサートによく行っていた頃にはなかったと思うのですが、今では割とポピュラーになっていて、大人用にも耳栓型のものが比較的安価に購入できることが分かりました。

ロックコンサートの音量は120dBを超えると言われます。120dBはジェット機のエンジンの近くにいた時の音量だそうですから、本当に大きな音です。それ以上の音を長時間聞きつづければ、必ず耳にダメージを与え、聴力低下につながります。音楽用の耳栓は、普通の耳栓とは異なり、音質の低下を最小限に留めたまま音量だけを下げるというものです。物は試しと購入したものは、約19dBほど遮音するということでした。19dBでどれほどの違いがあるのかと思いますが、実際には結構違います。使ってみると、気になるほどの音質の低下は感じず、十分楽しめました。コンサート後の耳鳴りも起こりませんでした。

こちらの記事によると、2016年に行った研究で、平均25歳の51人の大人に対し、25人に耳栓 (18dBの騒音低減) を付け、残りの26人には耳栓を付けずに4.5時間の野外コンサート後の聴力を比較したところ、一時的な難聴を経験したのは、耳栓を付けたグループで8%、耳栓をしなかったグループで42%だったそうです。耳鳴りはそれぞれ12%と40%だったということです。

購入した音楽用耳栓は、サマソニでも活躍して耳鳴りなしで1日過ごすことができました。耳鳴りの不安から解消されることで、またライブに行きたいなという気持ちにもなりました。耳を保護して音楽を楽しむことができる耳栓。オススメします。

歩こう

一日の多くの時間を同じような姿勢で過ごす方は、体の使い方に偏りが出てしまい、体に歪みが出てきたり、筋肉が緊張して痛みが出てきたりしがちです。

仕事等でそうせざるを得ない場合は、メンテンナンスのつもりで時々施術を受けていただくことをお勧めしますが、より健康的に過ごすためには、適度に運動して身体全体を使うことも大切です。身体全体を動かすことで、普段の生活で使えていない部分を活性化させることができます。

とは言え、普段身体を動かさない人や、運動が好きでない人が、いきなり運動すると言ってもなんだか億劫だし、中々難しいものです。

利点

一番手軽に始められる運動と言えば、歩くことです。歩くことは私達にとって最も基本的な運動です。歩くことで筋肉や脳が活性化され、肉体面はもちろん精神面でも良い効果があります。ウォーキングの効用についていくつかご紹介しましょう。

体重維持:

ウォーキングは有酸素運動なので、脂肪を燃焼させるのに効率がよいです。従って体重の維持やダイエット効果があります。では、太っていなければ運動しなくて良いかというと、そうではありません。最近話題になっている肥満の中に、サルコペニア肥満と呼ばれるものがあります。これは、加齢により筋肉量が減少すると同時に脂肪が増えている状態を指します。一見太っているようには見えないし、体重も重くないのがこのタイプの肥満で、筋肉が痩せてしまったせいで、太って見えないだけで実は肥満なのです。サルコペニア肥満は、運動不足の高齢者や、食事制限のみで偏ったダイエットをしている方に起こりやすいです。特に高齢者では、筋力が痩せて運動機能が低下することで転倒・骨折、そこから最悪の場合は寝たきりになってしまうこともあります。身体を動かして、筋肉を維持することが、とても大切になります。

生活習慣病の予防:

ウォーキング等の持久力が必要な運動は、心肺機能を向上させます。心臓は、拍動することでポンプのように全身に血液を送りますが、筋肉もまた、縮んだり緩んだりすることで、血管に対してポンプのように作用して血液を送ります。筋肉は心臓の働きを助けるのです。歩くことで下半身の筋肉が使われれば、心臓から遠い足の部分での血行も促進されます。心臓や血管の病気、高血圧、糖尿病などの予防につながります。

骨を強める:

骨は刺激を受けることで強くなります。骨に力が加わると、その部分を丈夫にするために骨を作る細胞が活性化します。骨に対する適度な負荷が骨を丈夫にするのです。骨の成分であるカルシウムを取り込んで骨を丈夫にするためには、ビタミンDが必要です。ビタミンDは、太陽の光を浴びることで、体内で生成されます。お日様の光を浴びながら、骨に適度な刺激を与えるウォーキングは、骨を丈夫にするのに適した運動と言えるでしょう。

気分の向上:

Photo by George Redgrave

セロトニンという神経伝達物質は、舞い上がったり不安になったりする心を適度に抑える働きがあると言われています。例えばうつ病では、セロトニン神経の働きが弱っていることが明らかになっています。落ち込んだ気分を向上させ、落ち着いた状態でいるには、セロトニン神経がしっかり働いていることが大切です。セロトニン神経は、一定の周期で身体を動かすリズム運動によって活性化されます。リズム運動の良い例がウォーキングです。太陽の光を短時間浴びることもセロトニン神経を活性化させますので、朝日を浴びながらウォーキングすれば、生体時計が整えられ、自律神経やセロトニンの働きがより高まりより効果的です。

身体のバランスや協調性を高める:

体の平衡機能や協調性は、非常に重要な機能です。自分が今どのような体勢にあるかを感知して、転ばないようにするには、平衡感覚、そして体のパーツをオーケストラの演奏のようにまとめて動かす協調性が必要です。年齢を重ねるとこれらの機能は衰えていきますが、それを防ぐためには、体を動かすことが大切です。歩くときには、移動する重心に対して身体全体が常に協調して働きながら、転ばないようにバランスを保って進んでいきます。ウォーキングは、体全体を使いますし、平衡感覚を検知する重要な場所のひとつである足の裏の感覚も刺激されるので、とても良い運動だといえます。

やり方

ここまで読んでウォーキングを始めてみようと思った方、せっかくなのでただ歩くだけでなく、以下の点を意識してやってみましょう。

1.頭を上げましょう。下を向かず視線は遠くを見るようにしましょう。

2.背中を丸めず、かと言って姿勢良くしようと背筋を伸ばし過ぎないようにしましょう。首、肩、背中は、力を抜いてリラックスさせましょう。

3.腕をしっかり振りましょう。普段歩く時は、そんなに腕を振る必要はありませんが、ウォーキンングの時には、しっかりと腕を振ることを意識してみましょう。背中側の筋肉を使うことができます。

4.膝を真っ直ぐ前に出すようにしましょう。膝が外や内を向いていると、がに股や内股歩きになってしまいます。運動会の行進のように膝を高く上げる必要はありません。膝をリラックスさせ、進行方向に向かって自然に真っ直ぐ出すようにしましょう。

5.最初の数分はゆっくり歩いてウォーミングアップ。ウォーキングをする時は、普段歩くよりも少し早めのテンポで歩く方が効果的ですが、ウォーミングアップのつもりで始めは遅めで徐々にテンポを上げていきましょう。

頻度

どの程度歩けば良いのかについてですが、健康維持のためには、最低週2時間半が良いようです。これは一日30分程度を週5日の計算になりますが、無理なら1日15分を2回に分けても構いません。これはあくまでも目安ですので、自分の状態に合わせて無理せず行いましょう。例えば、最初は5分ずつから始めて徐々に時間を増やしていく等の工夫をすることも必要です。一番大切なことは、続けることです。

気を付けなければならないのは、痛いのを我慢して運動することです。歩くと痛い場合は、痛みの出ない別の運動を行います。痛みをこらえて運動すると悪化させてしまう可能性があります。まずはしっかり治すことが大切です。

参考文献

砂糖の甘くない話

前回のコラムでは、甘いものには中毒性があるため、思わず過剰に摂り過ぎてしまうこと、そして過剰に摂り過ぎることが身体に悪い影響を及ぼすことをお話ししました。

事実、アメリカをはじめとする国々では、糖分の摂り過ぎを肥満や糖尿病等の生活習慣病の原因とみて問題視しており、具体的な対策に乗り出し始めています。

例えば、昨年(2012年)ニューヨーク市のブルームバーグ市長が、レストランや映画館での16オンス(474ml)以上の容器に入った砂糖入り飲料の提供を禁止する法案を提出しました(結果は、NY裁判所による条例の差止め決定)。また、メキシコでは今年の夏、約20オンスの炭酸飲料とスプーン山盛り12 杯分の砂糖の写真と共に、「あなたは砂糖12 杯分を食べますか? なぜ炭酸飲料を飲むのですか?」と問い掛けた広告(上の画像)が地下鉄やバスに貼られ、炭酸飲料消費を抑制するためのキャンペーンが行われたり、今年の9月にオランダのアムステルダムの公共衛生局長が、「砂糖は中毒性がある危険な麻薬であり、制限するべき」だと主張したり、ここ数年で反砂糖ともいえる流れが強高まってきています。

悪者は脂肪から砂糖へ

この流れは、米カリフォルニア大学ロバート・ラスティグ博士による講義がyoutubeで2009年に紹介されて、一般の注目を集めたことが影響しているようです。

ラスティグ博士によれば、1970年代には、肥満や心臓病の原因は脂肪分の多い食事にあるとされていました。その結果、低脂肪の食品が推奨され、カロリーオフや低脂肪といった食品が増えることになりました。皆さんの中にも、意識して低カロリーや低脂肪の食品を購入される方は多いのではないでしょうか?

脂肪を悪モノとした成果により、アメリカでは20年前と比べると、脂肪分の消費量はずいぶん減ったそうです。これにて一件落着かと思いきや、予想とは裏腹に、肥満や心臓病は減るどころか、増え続ける一方なのです。

その反面、生活習慣病の増加と呼応するように増えているのが、糖分の消費量です。糖分の過剰摂取こそが、肥満と生活習慣病の原因であるというのが、ラスティグ博士らの主張です。

増える糖分摂取量

それでは何故、糖分の摂取量が増え続けているのでしょうか? 脂肪悪者説の結果、世の中には低脂肪の食品で溢れかえりました。スーパーでも低脂肪を謳った商品をたくさん見かけますよね。ところが、低脂肪食品にはひとつ問題がありました。それは美味しくないということです。いくら健康によいと宣伝しても不味くては誰も買いません。そこで、味を良くするため、脂肪の代わりに多く用いられるようになったのが糖分なのです。

脂肪の代わりに増えた糖分は、お菓子やジュースはもちろんのこと、パンやサラダ・ドレッシング等々、ありとあらゆる加工食品に含まれています。便利なもので、今は自分で作らなくても、スーパーやコンビニで、簡単においしいお弁当やお菓子などの加工食品を買うことができます。加工食品が浸透している私たちのライフスタイルでは、想像しているよりも遥かに多くの糖分を知らず知らずのうちに摂ってしまっているのです。

糖分の過剰摂取が引き起こす症状

肥満、糖尿病や心臓病などの病気になる以前に、日常的に甘いもの取り過ぎると、乱高下する血糖値を保つために、すい臓や副腎などの内臓がオーバーワーク状態になってしまいます。

その結果、血糖値が下がりすぎたり、内蔵の働きが弱まったりすることで、実に様々な症状が現れる場合があります。

例えば、

  • 疲れやすい、疲れが取れない
  • 体の痛み
  • 炎症が治りにくい
  • 精神的問題(イライラ、気分が落ち込んだり、集中力の低下)
  • 過食 etc.

血糖は、身体のエネルギーです。糖分の摂り過ぎによって血糖値が不安定になるということは、身体に上手くエネルギーが届かなくなるということです。上記のような様々な症状が身体に現れても、不思議なことではありません。

思い当たる節がある方は、一度食生活を見直してみるのも良いかもしれません。

参考文献

甘いものがやめられない。

先日来院した20代の男性。思い当たる節がないのに、首や肩がだるくてたまらないと言います。彼の体の状態をチェックすると、いくつか気になる点がありました。どうやら原因は、甘いものの食べ過ぎにあるようでした。

彼に尋ねると、案の定、甘いものが大好きで、ジュース類は毎日1リットル飲み、仕事中もお菓子が手放せないと言います。立派な甘いもの中毒です。

糖分の摂り過ぎは、痛みや疲労等、様々な体調不良の原因となりえます。糖分の摂り過ぎが良くないということは、誰もが知っています。ところが、実際に習慣になると、常に食べたいと思うようになり、そして中々やめられません。いったいどうしてなのでしょうか?

砂糖は麻薬

甘いものには中毒性があることが、多くの研究で明らかになっています。

オレゴン研究所のエリック・スタイス博士の研究では、ソフトドリンクやアイスクリーム、あるいはその他の甘いものが好きで、頻繁に食べる人達の脳がどのように振る舞うのか、fMRIで調べました。

そこで分かったのは、甘いものを食べた時、脳には麻薬を摂取した時と同じような活動が起こるということでした。甘いものが口に入ると、ドーパミンが放出されて、脳の快楽中枢が刺激されます。ところが、甘いものを食べれば食べるほど耐性がついて、脳が刺激されにくくなります。つまり、満足感を得るためには、より多く食べないといけなくなってしまうのです。糖は、コカインなどのドラッグと同じで、最も依存性のある物質のひとつと言えるのだそうです。

でも糖は大切

もっとも、このように糖に惹かれてしまうのは、当然のことなのかもしれません。生き物は、ブドウ糖を主なエネルギー源としています。私たちは、ブドウ糖がなければ生きていけません。はるか昔の私たちの先祖が狩猟採集生活をしていたころは、現代とは違って糖質を摂ることが容易ではなかったはずです。大切なエネルギー源である糖質を強く欲するのは、そんな時代から受け継がれてきた本能的なものなのでしょう。

私たちがお米や野菜・果物から摂った糖質(炭水化物)は、お腹に入って消化・分解・吸収されてブドウ糖となり、血液を通じて全身に行き渡ります。この血液の中のブドウ糖の濃度が血糖値ですが、常に一定の範囲内に保たれるように精密に調節されています。血糖値は、上がりすぎても下がり過ぎても身体に深刻なダメージを与えます。それを調節するのが、膵臓や副腎から出るホルモンです。食事をとると血糖値が上がります。すると膵臓からインスリンが出て、細胞がブドウ糖を利用できるように働きます。その結果、血糖値は下がります。血糖値が下がると、膵臓や副腎から出るホルモンが働いて、血糖値を上げます。血液中のブドウ糖を一定量に保つことで、細胞がエネルギーを使えるようにします。

問題は甘いものに囲まれた食生活

甘いものが体のエネルギーになるのなら、食べたいだけ食べても問題なさそうな気もしますが、糖分の摂り過ぎには気を付けなければなりません。

お米や野菜・果物などの食物に含まれる糖分は、消化、分解を経て体内にゆっくりと吸収されていきます。一方、お菓子やジュースなどの「甘いもの」に含まれる糖分は、砂糖や果糖などの精製されたものです。これらの精製された糖分は、お腹の中に入ったらすぐに吸収されてしまいます。それは血糖値の急上昇を引き起こします。

甘いものをやめられなくなるメカニズム

甘いものを摂って血糖値が急上昇すると、それをコントロールしようと膵臓や副腎がフル回転で働きます。毎日フル回転で働き続けたらどうなるでしょうか。やがて糖をエネルギーに変換する機能が上手く働かなくなってしまいます。その結果、身体は疲労してしまいます。身体が疲れると、意識的(あるいは無意識)にエネルギーである甘いものが欲しくなります。そして、甘いものを摂れば脳が喜びます。こうして悪循環が出来上がっていくのです。

悪循環を断ち切るには

特に理由もなく体が痛かったりだるかったり、なかなか疲れがとれず、ついつい甘いものを食べてしまう。これは、もしかしたら、糖分の摂り過ぎで悪循環に陥っているのかもしれません。甘いものを食べるのを控えて、悪循環を断ち切りましょう。甘いものを控えるときには、次の点に注意しましょう。

◎疲れた時には甘いものという考えを改める

砂糖は麻薬です。食べたらシャキッとします。血糖値も急上昇します。元気になるような気がしますが、それは一時のことで、またすぐに甘いものが欲しくなってしまいます。体に必要な糖分は、普通の食事をしていれば、すでに十分すぎるほど摂れているのです。

◎糖分は食物線維と一緒に摂る

普通の食事から摂る糖質には、食物線維が含まれています。食物線維は、お腹に長く留まるので満腹感を与えます。お菓子やジュースなどの甘いものには、これが欠けています。ついつい食べ過ぎる原因となります。

◎清涼飲料は飲まない

缶コーヒーや炭酸飲料、ジュース等には、かなりの量の糖分が入っています。清涼飲料は満腹になりにくく、ついたくさん飲んでしまいがちです。最近問題になってきていることに、清涼飲料や様々な加工食品によく使われる異性化糖があります。異性化糖の取り過ぎが、メタボリックシンドロームや種々の病気の原因となっている可能性が指摘されています。清涼飲料を飲むのは、最小限度に控えるべきでしょう。これについてはまた次の機会にお話しします。

◎無理はしない

余分な糖分を減らせば良いのですから、自己流で極端なダイエットをするのはやめましょう。また、甘いもの依存になっている人は、禁断症状が出るかもしれません。やめるのが辛い場合は、無理せず徐々に減らしていきましょう。

参考文献

CBC News. 60 Minutes. “Is Sugar Toxic
Mercola.com. “Shocking Sugar Content of Common Food Products

運動前のストレッチにご用心

ストレッチには、いくつかの種類があります。一般にストレッチと聞いて思い浮かべるストレッチのことを、静的(スタティック)ストレッチと言います。目的の筋肉を伸ばすような姿勢を取り、その姿勢で数十秒間保持するタイプのストレッチです。

この静的ストレッチには、体に良い様々な効果があると言われており、スポーツをする前には欠かせない準備運動として行なっている人もたくさんいると思います。ですが、これには注意が必要です。実は、ストレッチに関する研究のほとんどが、ストレッチにはこれまで言われていたような効果がないことを、はっきり示しているのです。ここでは、準備運動として行うストレッチに関する3つの間違いについてお話しします。

1.ストレッチはウォーミングアップにならない

スポーツを行う前には、しっかりとウォーミングアップ(準備運動)を行うことが大切です。準備運動の目的は、ケガの予防と運動のパフォーマンスの向上です。ウォーミングアップとは、文字通り身体を温めることです。心拍数を上げ、体温を上昇させることにより、よりハードな運動を行うための準備になります。

ウォーミングアップのケガ予防効果に関するある研究では、ノルウェーのユース女子サッカー選手1892人を対象に、国際サッカー連盟(FIFA)が推奨するウォーミングアップ・プログラム「11+」を行う選手とウォーミングアップを行わない選手とに分けて、1シーズン終了後のケガの発生率を比較しました。「11+」を行ったグループのケガの発生率は、行わなかったグループに比べて約3分の1少なかった、という結果になりました。適切なウォーミングアップは、確かにケガを予防するということがわかります。

では、運動前のウォーミングアップとして静的ストレッチを行うことは、効果的なのでしょうか? 筋肉を温め、動きやすくするためには、体を動かす必要があります。ストレッチはどうでしょうか? 筋肉を伸ばした状態でしばらくじっと待ちます。果たして、これで身体が温まるのでしょうか? 少なくとも、効果的な身体のウォーミングアップとは言えないでしょう。

2.ストレッチはケガの予防にならない

ストレッチがケガを予防するという考えが出てきたのは、1960年代でした。ちょうどそのころ、運動することで心臓疾患のリスクが減少するということが研究で明らかになり、日常的にエクササイズを行う人口が増えました。そのことも相まって、ストレッチの習慣は、広く浸透しました。それから数十年の時を経て研究が進み、現在では準備運動にストレッチを行なってもケガの予防にならないことが分かっています。

2010年の研究では、週に10マイル(16.09km)以上走る13歳以上のランナー2729人を、ランニング前にストレッチを行うグループと行わないグループに分けて、3ヶ月間のケガの発生率を比較しました。結果は、ストレッチをしてもしなくても、ケガの発生率に差はありませんでした。

ウォーミングアップは、ケガの予防につながります。ですが、ウォーミングアップとしてストレッチを行なっても、ケガの予防にはなりません。先に述べたFIFAの「11+」にもストレッチは含まれていないのです。

3.ストレッチで運動能力(パフォーマンス)は向上しない

スポーツ競技で良い結果や記録を残したい場合には、試合直前にストレッチを行わない方が賢明です。ストレッチ直後には、身体のパフォーマンスが低下することが、たくさんの研究で明らかにされているからです。

例えば、ストレッチを行った後では、短距離走のタイムが落ちたり、垂直跳びの記録が著しく低下したりするという研究報告や、ふくらはぎの筋肉をストレッチした後には、姿勢動揺性が増すという研究があります。また、長(中)距離ランナーでは、ハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)の柔軟性が低い方が、ランニングエコノミーが高い、つまり少ない酸素摂取量で効率良く走れる、という研究もあります。

ストレッチ自体が悪いわけではない

ここまでお伝えしたことを考えると、ストレッチは絶対にやってはいけない悪いことのように思えてしまいますが、決してそうではありません。注意しなくてはいけないのは、準備運動としてのストレッチです。特定の筋肉を限界まで伸ばして、じっと保持する静的ストレッチは、一時的に筋肉の活動を低下させてしまいます。あなたが準備運動の時に行うストレッチに、ケガの予防やパフォーマンス向上を期待しているのなら、やらない方が賢明でしょう。

ただ、どうしても運動前にストレッチをして筋肉を伸ばさないと不安だという方は、無理にストレッチをやめる必要はないと思います。入念なストレッチは避けて、ひとつのストレッチに対する時間を短時間(10数秒間)に留め、競技の直前に行わないことさえ気をつければ、特に影響はないと考えられます。

また、柔軟性の維持、向上を目的としたストレッチは、別の話です。ダンスや体操などの柔軟性が必要な運動競技をしている人にとっては必要でしょうし、一般の人にとっても、日常的に適度なストレッチを行うのは、心身のリフレッシュという意味で良いことだと思います。

必要なのは別の種類のストレッチ

ウォーミングアップに必要なのは、身体を目覚めさせる運動です。それには、動的(ダイナミック)ストレッチが最適です。今までストレッチは駄目だと言ってたのに・・・、と思うかもしれませんが、名前は同じストレッチでも、静的と動的ではやることが全く異なります。

動的ストレッチとは、身体の部位を可動範囲内で徐々に動かしていくことによって、身体を活性化させます。具体的は、軽いランニングや、実際に行うスポーツの動作に似た動きを行います。FIFAの「11+」に含まれる準備運動も動的ストレッチです。日本サッカー協会のサイトで動画を見ることができますので、興味のある方はご覧になってください。

静的ストレッチと動的ストレッチ。作用が全く異なるのに、どちらもストレッチと名付けられていることも、混乱が生じている一因なのかもしれません。準備運動には、筋肉を動かす「動的」ストレッチが吉。筋肉を静める「静的」ストレッチはナンセンス、と覚えておきましょう。

参考文献

肩こりについて

肩こりは、腰痛と並んで国民病ともいえる症状です。厚生労働省の調査(平成22年)では、私たちが自覚する症状の1位と2位を肩こり(女性では1位、男性では2位)と腰痛が占めています。実際、当院に来院される方も、肩こりに悩まされている方は非常に多いです。

肩こりとは、後頭部から首、肩、肩甲骨部の緊張や痛みを指します。そのため、肩こりと言っても、その症状は、Aさんにとっては肩全体が重たい感じだったり、Bさんにとっては後頭部が締め付けられるような感じだったりと様々です。肩周辺の組織のこり感や痛み症状を総称して「肩こり」と読んでいるわけです。

危険な肩こりもある

肩こりの場所が様々なら、その原因も様々です。その中でも気を付けなければいけないのは、関連痛といって内臓の異常を示すサインとしての肩こりです。例えば、右肩のこりは胆のうや肝臓の病気が原因で起こる場合があります。なかには、狭心症などの心臓の病気が、左肩への痛みとして現れるようなこともありますので、注意が必要です。

このような危ない肩こりとは違い、いわゆる一般的な肩こりは、主に筋肉の使い過ぎによる疲労、姿勢の問題、目の疲れ、冷え、ストレス等々が原因です。これらは、自身の生活環境を見直すことで、ある程度解消することができます。

自分でできる肩こり対策

まずは、普段自分がどんな姿勢で過ごしているかを考えてみましょう。同じ動作ばかり繰り返しているとか、悪い姿勢で過ごしているなら、それを改善できるか考えてみましょう。

例えば、仕事で長時間のデスクワーク(パソコン等)をしているのであれば、机と椅子の高さがあっているか確認しましょう。机が低すぎると頭が下がってしまったり、高すぎると肩に力が入ったりして、首の後ろや肩の筋肉を緊張させてしまいます。肩の力を抜き、肘を90度程度に曲げて、机の上に手を置ける高さが理想的です。

時々、休憩しましょう。常に同じ姿勢でいれば、同じ筋肉ばかりを使うことになるので、当然疲れてきます。また、長時間パソコン画面や書類に向かうことは、目の焦点を同じ距離に保ち続けることとなり、目を疲労させます。作業に集中し過ぎて、知らず知らずのうちに歯を食いしばったりしてはいないでしょうか? ここまでくると、肩こりのみならず、頭痛も起きてしまうかもしれません。肩や目の筋肉がこり固まってしまう前に、時々、立ち上がって身体や肩を動かしたり、遠くを眺めたりしましょう。違う動作を行うことで筋肉の緊張をとき、肩こりを予防することが大切です。

気分転換も大切

体の緊張だけでなく、心の緊張も肩こりに影響します。精神的なストレスがかかると、神経が高ぶり、身体は緊張して血行不良になって、肩こりに悪影響を及ぼします。休日には趣味や運動をして気持ちをリフレッシュさせると良いでしょう。また、就寝前にぬるめのお風呂につかると、副交感神経が刺激されて血行も良くなり、リラックスして眠りにつきやすくなります。

それでも良くならないときには

つまり、一般的な肩こりは、同じ姿勢で長時間過ごしたり、ストレスを感じたりすることで、肩や首の筋肉を緊張させて、負担をかけてしまうために生じてしまうのです。ですから、通常であれば運動をしたり、十分な睡眠をとったり、気分転換をしたり、あるいは仕事が一段落すれば自然と解消されるものです。

「自然に解消、と言うけど色々やってみても自分の肩こりは良くならないよ」という方もいらっしゃると思います。長い間肩こりを患っていたり、仕事柄どうしても肩こりになりやすいという方の場合、そう簡単には改善しないのが、肩こりの厄介なところです。それは、本来の体の動きや姿勢に戻れない状態になってしまっているからです。

そういう時には、当院をご利用下さい。動きのおかしくなった背骨や肩の関節等を調整すると、ずいぶんと楽になります。施術によって肩こりの原因となっている姿勢が改善され、自然にこりが和らいでいきます。仕事柄、肩こり姿勢は避けられないという場合は、定期的なメンテンナンスが必要かもしれません。いつもの肩こり姿勢をリセットさせることが大切です。

その上で、先に述べたような自分でできる肩こり解消法や運動を行えば、毎日の生活の質も変わってくるはずです。

骨盤のはなし

最近、骨盤のズレを気にして来院される方が増えています。「骨盤」が流行りのようで、ちまたでは骨盤ダイエットや骨盤矯正という言葉もよく耳にします。今回は骨盤についてお話ししたいと思います。

骨盤はズレない

骨盤は、仙骨、尾骨そして左右2つの寛骨から構成されています(図1)。これら4つの骨が関節でつながって、ひとつの骨盤となるわけですが、この関節面が文字通り「ズレ」てしまい、骨盤に歪みが生じる、と皆さん思われているようです。腰痛で当院にみえた方の中には、ご自身の腰の状態を「骨盤がズレているので、元通りにハメて欲しい」、と表現される方もいらっしゃいました。

骨盤の構造。いくつかの骨のパーツがしっかりとつながっている。

骨盤を形作る主な関節は、仙骨と寛骨をつなぐ左右の仙腸関節と寛骨同士をつなぐ恥骨結合です。これらの関節は、強靭な靭帯や筋肉で補強されていて、実はさほど動きません。例外は妊婦さんで、出産時に赤ちゃんが産道を通りやすいように骨盤の関節がゆるみ、その動きは大きくなりますが、これは正常な変化です。実質的には、骨盤の関節がズレてしまうということは、殆どないことです。

ところが、ズレを気にしている方の骨盤をみると、実際に高さが右と左で違ったり、片側が反対側と比べて前に出ていたりします。やっぱりズレているのでしょうか? いいえ、そうではありません。先ほど、骨盤の関節はほとんど動かないと説明しましたが、骨盤につながる背骨と股関節は違います。特に、股関節は最もよく動く関節のひとつです。この背骨と股関節が動くと、骨盤全体が前後、左右、上下に移動します。つまり、骨盤がひとつの塊として、回転したり傾いたりすることで、捻れが生じるのです。それが、あたかも骨盤の関節がズレているように見せかけています。

頭の位置と骨盤の関係

それでは、なぜ骨盤全体が捻れてしまわなければならないのでしょうか? その原因は様々なのですが、最も重要な原因が頭の位置です。頭には目や三半規管が備わっていて、そこから得られる情報によって、自分が空間の中でどのような位置にいるのかを判断します。正しい情報を得るために、脳は常に頭が真っ直ぐな位置になるように反射的に身体を調節しています。実際の姿勢調節のメカニズムは非常に複雑なのですが、その目的はシンプルで、頭を真っ直ぐ維持して、転倒してしまわないようにすることです。

例えば、頭が後方に倒れていると脳が判断すると、後ろに転ばないように、身体の前側の筋肉を緊張させて、真っ直ぐな位置へ頭を起こします。頭が前方に倒れたら、逆の反応が起こります。

下の図を見てください。頭が重心より後ろに行くと、脳は身体の前側の筋肉(腹筋など)を緊張させて、頭を起こし重心を安定させようとします(図2のA)。反対に頭が前方にあると脳が判断した場合には、後ろ側の筋肉(背筋など)を緊張させて、バランスをとります(図2のB)。

つまり、頭の位置を安定させるために、よく動く背骨や股関節を使ってバランスをとり、その代償として骨盤の位置が変化しているのです。図2のAでは、前側の筋肉が緊張して、背中は丸まり、腹筋が骨盤を引っ張り上げるので、骨盤は前方にスライドし後ろに傾きます。Bでは、後ろ側の筋肉が緊張して背骨(腰椎)が反り返り、骨盤は後ろ側が引っ張り上げられて前方に傾いています。

骨盤と姿勢の関係。頭の位置が大切です。

この図は分かりやすいように単純化した例ですが、実際の頭部は、前後、左右、回転の傾きが組み合わさり、複雑に変位してバランスをとろうとします。日常生活の姿勢やクセなど、何らかの要因で正しい頭の位置が変わってしまう生活が続くと、下の図のようにそれをかばう姿勢になってしまいます。それが身体の骨や筋肉への負担となって、痛みなどの症状や身体の歪みが生じるというわけです。

骨盤とダイエット

さて、ダイエットという観点で骨盤をみると、見た目の影響が一番大きくなります。図2のAでは、背中も丸まり骨盤が前に突き出て、お年寄りのような姿勢になり、身体、特に下半身が沈んで重たそうな見た目になります。Bでは、お尻が突き出ると同時に、腹筋が緩むので、お腹も出てしまいます。

「骨盤の状態=体重の増減」ではなく、スマートに見えるかどうかの問題なのです。脂肪を燃焼させて痩せる本当の意味でのダイエットには、食事、運動などの規則正しい生活習慣が必要になります。

骨盤のゆがみ(位置)を正すことは大切なことですが、ゴムバンドを巻くだけのダイエット法では、一時的にむくみが取れることはあっても、痩せることはありません。また、頭部を含めた身体全体のことを考えない骨盤矯正では、骨盤はまたすぐに元の位置に戻ってしまいます。

骨盤矯正はいらない?

では、骨盤矯正は全く必要ないのかというと、そうではありません。どんな関節にも柔軟性が不可欠です。さほど動かない骨盤の関節も例外ではありません。長期間骨盤が悪い位置にあれば、恥骨結合や仙腸関節にストレスがかかり、やがて柔軟性が損なわれてしまいます。

まずは、頭部の位置を安定させて、身体全体のバランスを改善させる。そのうえで、骨盤の関節の柔軟性に問題があれば、それを調整する必要があるでしょう。ですが、元々動きの少ない骨盤ですから、それをむやみに大きく捻ったり、ボキッとしたりするような矯正は必要ないと当院では考えています。

また、出産後は緩んだ骨盤が元に戻っていきますが、その際に骨盤の位置が良くない状態にあれば、その状態のまま固定されていく場合があります。それは見た目だけではなく、後々の身体の不調につながる可能性がありますので、早めのケアが大切です。

座って過ごすと寿命が縮む!?

先日、座って過ごす時間が長いほど平均寿命が短くなるという研究が、医学誌「American Journal of  Epidemiology」に掲載されました。特に病歴のない成人12万3,216人に対し、14年間行った追跡調査です。

その結果は次のとおりでした。「1日6時間を座って過ごす人は、座る時間が3時間未満の人に比べて死亡リスクが女性で37%、男性で17%高かった。1日当たりわずかでも運動をすれば、座っていることによる死亡リスクが軽減される傾向がみられたが、運動を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意なものであった。一方、長時間座って過ごし、かつ運動や体を動かすことをしない人はさらに死亡リスクが高く、女性では94%、男性では48%であった。」

寿命が縮む理由は?

この結果について、研究を行ったAlpa Patel博士は、2つの理由を述べています。ひとつは、「座っている時間が長いほどエネルギーの総消費量が少なくなり、体重増加や肥満になりやすい」こと。もうひとつは、「筋肉、特に脚の筋肉を動かさないと、さまざまなホルモンの分泌が変化し、トリグリセライド(中性脂肪)、コレステロールなど、心疾患やその他の疾患マーカーに影響がある」ということです。

これまで、座っている時間と寿命の長さとの因果関係を調べた研究はほとんどなかったのだそうです。運動不足が身体に良くないことは、私たちはよく知っていますが、こうやって客観的に数字で示されると、なんだか急に立ち上がって運動したい衝動に駆られますね。

「座って過ごす」をカイロから考えると

座ることの身体への影響を、カイロプラクティックの視点から考えると、座っている時間の多い方に共通してみられる、いわゆる猫背姿勢が問題になってきます。

猫背姿勢になると、胸の前側が縮こまって呼吸が浅くなってしまいます。すると、十分な酸素が身体全体に行き渡らなくなり、「疲れやすい」といった症状が現れます。また、横隔膜は呼吸と共にポンプのように作用して内臓を動かし、内臓の働きも助けます。さらに、横隔膜は心膜という心臓を包んでいる膜組織と連結しているので、心臓の働きにも影響すると考えられます。つまり、猫背姿勢は、正しい呼吸に悪影響を及ぼし、血液や内臓の働きを阻害する可能性があるのです。以上のようなことも、寿命に何らかの影響を与えているのかもしれません。

参考文献

ソフトな施術をする理由

「こんなにソフトな治療で、どうして良くなるんですか?」当院の施術を受けた患者さんからよく聞かれる質問です。カイロプラクティックや整体というと、身体を強く揉んだりひねったり、あるいは関節をボキボキッと鳴らしたり・・・、そんなイメージを持たれている方が多いようです。そのせいか、強く揉んだりボキボキしないと良くならないように思い込んでいる方もいらっしゃるようです。当院の施術は、そのようなイメージとは正反対の非常にソフトな方法を用います。そして、身体の中でも特に頭部を重要視して施術を行います。実は、これはとても理にかなった方法なのです。

カラダの3つのネットワーク

私たちは普段、身体のことを頭、腰、手、足などパーツごとに分けて呼んでいます。当たり前のことですが、頭の先から足の先まで、本来はそれぞれが分けることのできないひとつの身体です。とは言っても、手、足、腰・・・というふうに身体をみると、どうしてもパーツの集まりが身体だと思いがちです。ここでは、「ひとつの身体」をイメージできるように、身体の構造を別の視点から観てみましょう。

身体には、全身に広がる3つのネットワークがあります。脳を中心に身体内外からの情報を伝達する神経系、身体に栄養を運び老廃物を取り去る血液の循環系、そして筋膜系です。これらのネットワークは、全身に隈なく張り巡らされています。例えば、身体から血管だけを取り除いたとすると、血管だけでも身体の姿が浮かび上がるほどです。

動きの始まりはアタマから:神経系

脳は、身体の内側や外側から情報を受け取り、それに基づいて身体の各部位に適切な指令を送ります。これが神経系の役割です。例えば、歩くためには、進行方向には何があるのか、自分の身体は今どのような姿勢なのか、地面の形状はどうなっているのか等々、神経系がたくさんの情報を処理しながら、一歩一歩踏み出しています。このような情報は、身体の様々な場所にある器官が受け取っていますが、特に頭部には大切な器官が集約されています。眼、鼻、口、耳や三半規管がそうで、身体の外側の環境からの情報を受け取るアンテナの役割をしています。これらの重要なアンテナが頭部に集まっているのは、人間の行動が頭部から生じているためです。周囲の環境の情報収集をしながら、その情報に応じて身体が動いていくのです。

身体が正しく動くためには、まずは頭部が正しく働くことが重要になります。例えば、頭部が正しい位置になければ、頭部のアンテナは正しい情報を集めることができません。正しくない情報をもとに身体が動けば、動作や姿勢はおかしくなり、身体に異常な負荷がかかって、やがて腰痛や肩こり、膝痛などの痛みや不調が表れてくることでしょう。

動きのネットワーク:筋膜系

筋膜とは、筋肉や内臓や骨を包みこんでいる組織のことです。人体をグレープフルーツに例えれば、一番外側の黄色い皮の部分が皮膚、その内側の白い部分は脂肪だと言えます。果肉の部分は内臓や筋肉です。そして、果肉を包んでいる薄皮が筋膜に相当します。薄皮は果肉同士を分割し支えています。果肉を全部食べてしまっても、グレープフルーツとしての形は維持されます。薄皮で果肉が分かれているように、筋膜は組織と組織を分け、それと同時に組織同士をつなぎとめてもいます。筋膜は内臓や筋肉を包みこみ支えています。筋膜は骨と筋肉をつなぎとめ、筋肉と筋肉を結びつけています。筋膜がなければ、身体の組織はバラバラになって機能できません。筋膜が身体を形作っているのです。同じ姿勢や動作の繰り返し、怪我など、何らかの原因で筋肉や筋膜の柔軟性や機能が損なわれると、背骨や骨盤のゆがみが生じます。上の図は、筋膜がたくさんの筋肉をつないでいることを示すひとつの例ですが、頭から足先までひと続きにつながっているのがよく分かると思います。頭から始まる身体の動きは、筋膜のつながりによって全身に伝わっていきます。

anatomytrainsが示す筋肉のつながり
前頭部から足底までつながる筋膜のライン
(Anatomy Trains 2nd ed.より)

全身に物資を輸送する:循環系

anatomytrainsが示す筋肉のつながり
ニワトリの血管。血管は全身を隈なく巡っているので、鶏から血管だけを取り出すしてもその姿形が分かります。
(Gunther von Hagens’ BODY WORLDS より)

血液の主な働きは、運搬、調節、防御です。血液は、身体組織に必要な酸素や栄養分を運び、不要な二酸化炭素や老廃物(代謝産物)を運び出します。また、ホルモンを特定の器官に運び、その機能を調節したり、体温調節などの身体の恒常性を維持する調節を行います。そして、白血球などの働きによって、外敵から身体を守ります。血管は、途切れることなく、網の目の様に全身に行き渡り、その全長は10万キロメートル、地球2周半の距離に等しいそうです。血液が全身の隅ずみにまで行き渡るためには、十分な血流が欠かせません。血行が悪ければ、上述の機能が損なわれることになります。そしてこの血液の働きは、私たちが感じる「痛み」にも影響を及ぼすと考えられています。

3つのネットワークは情報を伝達する

このように、ネットワークという視点から観てみると、身体は「分けることのできないひとつのもの」だということがイメージできたのではないでしょうか。これらのネットワークの役割を一言で表せば、「情報伝達」です。循環系は、血液を通じて酸素やホルモン等の化学物質の伝達を行い、神経系は、体の位置関係や筋肉の緊張度、あるいは痛み等の感覚の伝達を行っています。筋膜系が伝えるのは機械的な情報、例えば振動です。身体を何かにぶつけたときや、歩行中に足が地面から受ける衝撃は、振動という形で全身に伝わります。振動は、水面に落ちた石から広がる波紋のように全身に広がっていきます。

当院が行う施術は、これらのネットワークに働きかけて、正しい情報伝達ができるようにすることを目指しています。あなたの肩が痛いのは、ひょっとすると足首の異常が正しい情報伝達を阻害しているせいかもしれません。だとすれば肩を強い力で動かしたり、筋肉を揉んだりしてもなかなか良くはなりません。逆に、正しい情報伝達を促して、関節の動きや筋肉の緊張を自然に改善させれば、強い力を用いなくともソフトな施術で十分だということです。

頭からのソフトな施術が効果的

また、当院では、必ず頭部に対して施術を行います。それは、頭部を中心とする神経系や全身に広がる筋膜のつながりを考えてのことです。頭部からのソフトな施術は、安全に身体の改善を図れるのです。身体の動きが回復すると、筋肉による血液のポンプ作用を促し、血行も改善されます。このように、当院の施術は、身体に広がる神経系、循環系、筋膜系のネットワークが正しく機能できるようにしているのです。

参考文献:Anatomy Trains 2nd ed.