砂糖の甘くない話

メキシコの炭酸飲料の消費抑制のためのキャンペーン広告

前回のコラムでは、甘いものには中毒性があるため、思わず過剰に摂り過ぎてしまうこと、そして過剰に摂り過ぎることが身体に悪い影響を及ぼすことをお話ししました。

事実、アメリカをはじめとする国々では、糖分の摂り過ぎを肥満や糖尿病等の生活習慣病の原因とみて問題視しており、具体的な対策に乗り出し始めています。

例えば、昨年(2012年)ニューヨーク市のブルームバーグ市長が、レストランや映画館での16オンス(474ml)以上の容器に入った砂糖入り飲料の提供を禁止する法案を提出しました(結果は、NY裁判所による条例の差止め決定)。また、メキシコでは今年の夏、約20オンスの炭酸飲料とスプーン山盛り12 杯分の砂糖の写真と共に、「あなたは砂糖12 杯分を食べますか? なぜ炭酸飲料を飲むのですか?」と問い掛けた広告(上の画像)が地下鉄やバスに貼られ、炭酸飲料消費を抑制するためのキャンペーンが行われたり、今年の9月にオランダのアムステルダムの公共衛生局長が、「砂糖は中毒性がある危険な麻薬であり、制限するべき」だと主張したり、ここ数年で反砂糖ともいえる流れが強高まってきています。

悪者は脂肪から砂糖へ

この流れは、米カリフォルニア大学ロバート・ラスティグ博士による講義がyoutubeで2009年に紹介されて、一般の注目を集めたことが影響しているようです。

ラスティグ博士によれば、1970年代には、肥満や心臓病の原因は脂肪分の多い食事にあるとされていました。その結果、低脂肪の食品が推奨され、カロリーオフや低脂肪といった食品が増えることになりました。皆さんの中にも、意識して低カロリーや低脂肪の食品を購入される方は多いのではないでしょうか?

脂肪を悪モノとした成果により、アメリカでは20年前と比べると、脂肪分の消費量はずいぶん減ったそうです。これにて一件落着かと思いきや、予想とは裏腹に、肥満や心臓病は減るどころか、増え続ける一方なのです。

その反面、生活習慣病の増加と呼応するように増えているのが、糖分の消費量です。糖分の過剰摂取こそが、肥満と生活習慣病の原因であるというのが、ラスティグ博士らの主張です。

増える糖分摂取量

それでは何故、糖分の摂取量が増え続けているのでしょうか? 脂肪悪者説の結果、世の中には低脂肪の食品で溢れかえりました。スーパーでも低脂肪を謳った商品をたくさん見かけますよね。ところが、低脂肪食品にはひとつ問題がありました。それは美味しくないということです。いくら健康によいと宣伝しても不味くては誰も買いません。そこで、味を良くするため、脂肪の代わりに多く用いられるようになったのが糖分なのです。

脂肪の代わりに増えた糖分は、お菓子やジュースはもちろんのこと、パンやサラダ・ドレッシング等々、ありとあらゆる加工食品に含まれています。便利なもので、今は自分で作らなくても、スーパーやコンビニで、簡単においしいお弁当やお菓子などの加工食品を買うことができます。加工食品が浸透している私たちのライフスタイルでは、想像しているよりも遥かに多くの糖分を知らず知らずのうちに摂ってしまっているのです。

糖分の過剰摂取が引き起こす症状

肥満、糖尿病や心臓病などの病気になる以前に、日常的に甘いもの取り過ぎると、乱高下する血糖値を保つために、すい臓や副腎などの内臓がオーバーワーク状態になってしまいます。

その結果、血糖値が下がりすぎたり、内蔵の働きが弱まったりすることで、実に様々な症状が現れる場合があります。

例えば、

  • 疲れやすい、疲れが取れない
  • 体の痛み
  • 炎症が治りにくい
  • 精神的問題(イライラ、気分が落ち込んだり、集中力の低下)
  • 過食 etc.

血糖は、身体のエネルギーです。糖分の摂り過ぎによって血糖値が不安定になるということは、身体に上手くエネルギーが届かなくなるということです。上記のような様々な症状が身体に現れても、不思議なことではありません。

思い当たる節がある方は、一度食生活を見直してみるのも良いかもしれません。

参考文献